海外投資において、これから将来に渡って避けられないトレンドはいくつかあります。これには、日本のマクロ経済の成長性、その可能性も関連しています。また、技術発展の恩恵もそれらのトレンドに大きく影響してきます。基本的にはポジティブな流れであって、海外投資のハードルが下がるという意味では、投資家にとって選択肢が増える嬉しいトレンドと言えます。
特徴となっているのは、海外投資自体の中身、構造が大きく変化しているということよりは、周辺の投資インフラがグローバルベースで整うことによって、参入障壁、情報格差が減ってきていること、法律や制度が少しずつ現実に対応してきているという良い変化です。
従来ですと、海外投資は限られた企業、限られた富裕層のものと思われがちでしたが、現在では一般個人でも手の届く方法、選択肢が数多くあります。また、悪い事例が噂や固定概念を作り、何か詐欺的な怪しいものと思われてきた節があります。そして、今でも残念ながらイメージとして残ってしまっています。
ただ、本当にそうなのでしょうか。実際に海外投資を真剣に手がけ、実践してきた方々からすれば、真実はわかるはずです。何事も似たり寄ったりですが、上手く行った話は外部に出にくいですし、悪い話はすぐに拡散していきます。人間の性質を考えると、ネガティブな話題、不幸な話題や批判の方が、注目を集めやすい傾向にありますし、上手くいくことはライバルを作らないように独り占めしたいという心理につながります。
直接投資の拡大
インターネットやSNSの普及によって、圧倒的に情報収集が容易になりましたし、人との繋がりも作りやすくなりました。海外の事業者や起業家と、リアルタイムで簡単にコンタクトを取れる環境が整いましたし、連絡を受ける側の抵抗感もなくなってきています。ビデオ会議やウェビナーが浸透してきていることも、距離感を縮める大きな要因の一つです。
当然、情報が入ってきやすくなれば、直接投資の話も増えます。中間マージンが不要になる、もしくは少なくなりますし、一方でより臨場感のある情報、真偽が確かな情報を得ることができます。良いことづくめなのです。その分、投資家としての知識、経験が必要になる面もありますが、初めのうちは頼れる協力者がいれば、自らの負担は少なくなるでしょう。
IT、金融サービスのインフラが発展してきていることも大きいと言えます。海外投資の複雑な手続きが、劇的に効率化、簡素化されています。投資機会そのもののリスクに関係のない事務的な手続きがパターン化、モジュール化、自動化されることは、メリットでしかありません。
資産分散と価値創造
投資家の資産ポートフォリオにも拠りますが、海外投資だけが中心を占めるケースは少ないでしょう。また、ここでは、海外投資のうち、有価証券投資以外の主に事業、資産向け投資を想定していますので、割合としては更に小さくなることが考えられます。
もちろん、利益追求は前提として、投資には様々な他の目的があって全く問題ありません。投資資産の種類、通貨の種類という意味で、分散投資かもしれませんし、節税目的で海外資産を保有するケースもあります。スタートアップ向け投資では、新しい価値を創造する事業に、社会貢献、事業シナジーの意味も含めて、投資するということもあるでしょう。
文化や習慣が異なる海外には、豊富かつ多様な投資機会が存在します。その点では、利益追求以外の観点に魅力を持って、投資する投資家が増えるていくことは間違いないトレンドと言えるでしょう。
個人の力量
今までは組織立っていないと難しかったことが、個人レベルでも可能な範囲が広がってきました。投資は、基本的には資本集約産業であって、特に海外投資の場合、個人レベルでは一定以上の富裕層でないとその世界にすら入り込めないものだったと言えます。
その固定概念は少しずつ変化していて、資本が少なくても、情報をきっちりと把握、理解でき、一定の方法をマスターしてしまえば、それほど難易度が高いものではなくなりつつあります。組織がなくても、個人レベルで戦える投資機会も増えていて、国内投資と同様に個人の力量で勝負できる環境が、整ってきています。