海外投資というと、多国籍大企業や限られた富裕層が、会計や法律の仕組みを駆使して、膨大な利益を上げているようなイメージがあるかもしれません。また、詐欺的な取引が蔓延していていて、中途半端に手を出してはならない領域と思われているかもしれません。
インターネットが普及する前は、情報をオープンに入手するのが難しい時代でしたし、たとえ情報を入手できたとしても、その真偽を確認する手段も限られていました。海外は物理的な距離以上に、心理的距離があって、現代のようにオンラインですぐに連絡を取ることもできませんでした。国際電話や海外ファックスという手法も、一般の投資家には負担が大きかったのです。
しかしならが、今はそのような時代が終わり、技術発展によって海外投資の敷居が下がると共に、むしろより優良な投資機会を求めて、海外投資を積極的に開拓するような流れになってきています。メリットとデメリットを総合すると、国内投資との実質的な差が明らかに縮まっています。嗜好によって決められるようになってきているのです。
国内投資でも、投資機会の質にはムラがありますし、それは海外投資に限らず、どのような投資でも概ね同じです。言語の違いはあるものの、海外投資の方が投資機会の開拓範囲が大幅に広くなることから、投資家のニーズにマッチした魅力的なビジネスを見つけやすいというメリットもあります。
海外投資では、ほとんどの場合、リモート管理になるので心配だという懸念があるかもしれませんが、信頼のおける協力者、取引関係者が見つかれば、大きな問題の種にはならないでしょう。
ビジネス構造は同じ
事業や資産向けの直接投資は、国内投資であろうが、海外投資であろうが、基本的な考え方(リスクの検証、クロージング、管理等の考え方)は、同じです。海外投資においては、商慣習、文化、経済動向、規制等の外部環境が異なるので、その点は注意しなければなりませんが、ビジネス構造は根本では変わらないのです。
言語が変わって、ビジネスの場所が変わると、全てが変わったように感じてしまいがちですが、それを過度に恐れる必要はない、というのが海外投資の実態と言えるでしょう。違うものとして区別するようなものでも、なくなりつつあります。
投資家の立場を最大化できる
基本的に、投資家の立場は強いので、不必要な譲歩をするくらいなら、投資を見送るくらいのスタンスが丁度いいと言えます。投資活動に共通することかもしれませんが、妥協の末、無理して進めると多くの場合、失敗に繋がります。
海外投資において、一見わかりにくい投資機会や、押しの強い仲介者(ブローカー)に遭遇することはよくあります。投資判断を迫られても、国内投資を検討する時と同様に、その投資機会を理解し、納得するまでは焦らないことが肝要です。海外投資だから、曖昧にしてしまったり、わからないものだと自分中で消化してしまってはならないのです。
本当に投資したいものだけを選別して、じっくり検討をしたとしても、投資先候補が全くなくなってしまう、というようなことは需給からすれば、考えにくいのです。
国内投資にはない多様性
選択肢が多いというのは、海外投資の何よりの強みです。同じ産業、分野でも、マーケットサイクルが違えば、魅力的な条件の投資機会が出てくるでしょう。投資家の立場が違えば、リスクに対する許容度が異なるので、例えば、国内投資家にとっていいタイミングでなくても、海外投資家にとっては、大きなチャンスになるケースもあります。為替や期待利回りのトレンドを自国の投資機会と比較するわけです。
また、期待リターンのみならず、事業シナジーや独自の投資理念に沿って、投資活動している場合にも、海外投資は有力な選択肢になります。もちろん、国内投資でも数多くの選択肢はありますが、海外投資の方がよりユニークなものを見つけやすいでしょう。