投資家のこだわり次第ですが、技術的にはほぼ全ての手続きをオンラインないし、リモートで完結することが可能でしょう。便利な時代になったものです。
どうしても物理的に現地視察で見ておかないと気が済まない、ビデオ会議ではなく対面で取引関係者に面談しないと納得いかない、本人確認のために金融機関に来店を要求されている、と言うようなことが発生しなければ、ボトルネックとなるようなことはほとんどないでしょう。
投資実行後の運用・管理の段階においても同様です。IT技術の進化とインフラの発達によって、コミュニケーションや実務手続きがオンライン、リアルタイムで容易にできるようになりましたし、コロナウィルスのパンデミックでテレワークが世界的に浸透したこともあって、このような手法を活用するハードルが加速度的に下がっています。
昔ながらの手法による海外投資ではコストが重くなりがちでしたが、技術の進化によって、結果的に大幅なコスト削減ができる環境が整ってきました。
多様なコミュニケーションツール
現在では、Eメールだけでなく、チャットツールやビデオ会議などの多様なツールが浸透し、ほとんど追加コストをかけずに、それらをモバイル端末からでも簡単に利用できるようになりました。
いちいち、会社のパソコンの前に座り、構える必要がなくなったのです。経済性だけでなく、利便性が増したことが大きいでしょう。物理的な距離があるからこそ、相手の顔が見ながら会話ができることが重要で、それは信用力の補完にもつながります。
また、ビデオ会議等のツールは日々進化していて、AI技術を使った字幕での自動翻訳もいずれ当たり前のものになる日が来るでしょう。Googleストリートビューを使えば、現地に行かずに現地視察もできますし、動画のクオリティも向上、動画の共有も難なくできます。
資金管理・契約手続の電子化
資金管理や契約手続といった実務的な作業も、オンラインベースで十分に出来るようになってきています。資金移動一つとっても、オンラインバンキングの普及で、モバイル端末からでも即時に操作できます。それは海外の金融機関においても同様です。
契約手続においても、海外では判子文化もありませんので、電子署名が当たり前のように普及してきています。むしろ紙ベースの方が、保管や郵送などの手続きを含めて管理が煩雑になり、オペレーション上のリスクが増えてしまうという意識もあるのです。
現地協力者のネットワーク
隙間を埋める、様々な規制に対応するためにも、現地協力者の存在が不可欠です。現実的には、リモートで完結できても、やはり信頼を置ける人や企業が現地にいると、心理的にも安心感があるでしょう。
また、投資実行後に定期的かつ丁寧な必要な場合、現地に人材を派遣したり、頻繁に渡航したりすると、想像以上のコストがかかります。それだけで、投資からの利益が吹き飛んでしまうこともあるかもしれません。もちろん、投資の規模感にもよりますが、現地協力者との連携を深め、業務的にもコスト的にも、最適化を図るのが望ましいでしょう。