ITバブル、リーマンショック、コロナ禍など、全世界的に経済的なダメージを与えるイベントが、中長期的な海外投資の成長の障害になるかと言われれば、そうはならないでしょう。
もちろん、短期的には心理的な要因も含め、取引量が減ったり、市場の取引価格や指標が落ち込むことが容易に想定できます。一方で、グローバル化された全世界の経済システムや、クロスボーダー取引を円滑にするフィンテックの台頭、仮想通貨の将来性等を考えると、海外投資(クロスボーダーの投資)が伸びていく流れは変わらないはずです。
一昔前は、情報を入手できる限られた資本力のある人々が主たる受け皿になっていたところ、IT技術の発展や、金融システムの効率化、契約書の電子化等によって、一般の個人レベルでも手に届く投資機会が増えてきました。絶対的にかかるコストが劇的に下がっているのです。クラウドファンディングの浸透等もその一例と言えます。
投資家のすそ野が広がると、取引数が増え、それに伴って取引価格の上昇が見込まれます。それが良い循環になって、投資機会も増加するのです。マーケットサイクルによる上下はありますが、長い目で見れば、海外投資の成長性について、心配になりすぎる必要はないでしょう。
なくならない資金需要
無借金経営で現金を潤沢に抱える大企業が増えていたり、大規模な金融緩和によって市場でのカネ余りが継続したとしても、資金需要のある個人、法人は常に一定規模存在します。リスクとリターンの関係で、適切に資金が届いていない場合があるかもしれませんが、スタートアップを含めた新たな資金需要による新陳代謝も常に起こっています。
また、手持ち資金が潤沢であっても、投資リターンを上げるためのレバレッジを得るために、外部資金が必要という場合があります。それも、投資機会となる資金需要と言えます。
自国内だけを見ると、その時々の経済情勢によって、資金需要の濃淡はありますが、世界的に見れば、全ての主要な国で資金需要が減る、投資機会が減るということは、現実的には起こりえないでしょう。
止まらない経済成長
世界中の国が、経済成長率の目標を掲げ、その達成に向けて経済政策や支援を行っていますし、新興国を中心に、地球上の人口は増加の一途を辿っています。経済規模を大きくしていくためには、必ずビジネスとしての投資、回収の反復プロセスが発生します。
つまり、経済成長を目論見続ける以上、投資のプロセスから発生する資金需要は維持されることになります。先進国になって、経済成長要因が少なくなってくると、環境推進政策のような新たな視点を加えることによって、経済の活性化を促すことも珍しくありません。
投資立国としての潜在力
日本の置かれた現在の状況を考えれば、グローバルクライシスが発生したとしても、海外投資の増加は、将来の経済発展、維持のためには不可欠な要素と言えます。国内の成長率には限界がありますし、人口減少はGDPに直接的に影響してきます。
今でも、上場企業への株式投資や投資信託等を通じて、間接的な海外投資は十分可能ですし、その分野としての成長はあります。一方で、それらには、投資家が意図する特定のプロジェクトだけに投資するような柔軟性はないのが通常です。
直接投資には間接投資にない醍醐味がありますし、上述の通り、様々な技術発展によって一般の個人レベルでも手掛けられるようになってきたことは、海外投資の更なる成長に拍車をかけることでしょう。