専門家が語る、マジョリティ投資か、マイノリティ投資か

初めての海外投資の場合、まずはマイノリティ投資(投資機会の過半以上の持分を持たない)が望まれます。こだわりの強いポリシーがあるか、余程の資金的な余裕があれば、マジョリティ投資(投資機会の過半以上の持分を持つ)を検討することが考えられるものの、投資実行後の認識の相違や、不用意なトラブルを避けるためには、上手く他者(共同投資家)を巻き込んで、その投資機会のリスクコントロールをする方が無難です。

一方、慣れてきて自信がついてくると、マジョリティ投資にも関心が高まるのは必然と言えます。他人にリスクコントロールしてもらうより、自分でコントロールした方が期待リターンを高められると思うからです。ただ、それが実質的にそうなるかは、投資機会の種類や、投資のストラクチャーにもよるので注意が必要です。

コントロール権を握るメリットとデメリット

コントロール権を積極的に取ることで、投資の成功確率が上がるかと言えば、そうとも限りません。海外投資の場合、自らの立場はあくまでも外国人ですから、投資する国のことを知っているとは言え、完全ではありませんし、その国の自国民と比較すると分かっていないことも多いでしょう。

それに、何かトラブルが発生した時に、自国民だと一瞬で解決することでも、外国人だとなかなか解決しない、進捗しないことも珍しくありません。全く同じ作業、動きをしたとしてもです。論理的にはおかしいのですが、日本において、逆の立場を想像してみると、不思議ではないことがなんとなくわかると思います。

その意味では、コントロール権を共同投資家に譲ることで、投資自体がスムーズに進捗することが期待できます。ただ、その共同投資家(主導する投資家、事業者)の実力、実績を見極めなくてはなりません。頼りのない共同投資家や、自分勝手な事業者に任せてしまうと、かえって悪い方向に事が進んでしまいます。

法律上の制約

新興国で見られるケースが多いですが、その国の法律上、特定の投資機会について、外国人がマジョリティ投資をできない場合があります。国として、その産業を保護しているわけです。このような場合には、その国の自国民と組んで、マイノリティ投資家として共同投資するしかありません。

投資ストラクチャーを工夫することで、実質的にその投資機会を支配する仕組みにすることも、場合によっては可能ですが、法律上の安定性に欠けたり、その仕組みを構築するために、相応の費用を要することがほとんどです。積極的に危ない橋を渡る必要はないでしょう。

人的リソースとのバランス

当然ですが、自ら主導するか、しないかでその投資機会に割く力と時間が変わってきます。人的リソースを十分に確保できていないのに、マジョリティ投資をしても、きちんと目が行き届かずに、対応が後手にまわってしまう懸念があります。それなら、いっそのことマイノリティ投資の立場で、共同投資家、事業者をモニタリングする方が、負荷も小さく効率的かつ効果的です。

マジョリティ投資の方が、表面的には期待リターンを高めることができる可能性が高いですが、間接的にかかる人的リソースのコストや、手間をかけて管理していくことの労力も考慮に入れなければならないでしょう。


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