ワークフロムホームならぬ、投資フロムホームの時代(在宅で海外投資を手掛ける時代)が、海外投資においても遅かれ早かれ到来することでしょう。上場有価証券への投資は、証券会社を通じて、モバイルでもできることが(場所を選ばずに取引できることが)当たり前になっていますが、海外への直接投資でも、証券投資ほど標準化されてはいないものの、リモートで各種手続きを完結できるようになってきています。
投資機会を検証するに当たって、実際に投資対象物を、自分の目で見ないと目利きができない、見ないと気が済まないというこだわりがなければ、投資のプロセス自体はリモートであっても何ら変わりません。むしろ、リモートの方がコスト削減につながるでしょう(実質リターンが上がるでしょう。)。
その観点では、投資機会を都度、現地で見極めるというよりは、現地の取引関係者との信頼関係を構築し、リモートで連携しながら、本当に重要なポイントだけは現地に赴き、自分の目で確認するといったオペレーションが最も効率的と言えるかもしれません。
2020年のコロナ禍以降、物理的な移動制限が発生してきましたし、仮に元の環境に戻ったとしても、制約されてきた期間で学んだ効率的なやり方については逆戻りになることはないでしょう。
むしろ、リモートでできること(リモートでやっても結果に大差が生じないもの)は、リモートでするという習慣が、より浸透するはずです。これはある意味、全世界的な環境変化が同時に起きたことが、ポジティブに影響した一面ですし、海外投資を含めたクロスボーダー取引に変化をもたらすきっかけになっています。
容易になる情報取得
コミュニケーションの方法が多様になったこと、海外とタイムリーにやりとりができるようになったこと、無料かほとんどコストをかけずにツールを使用できるようになったことなどが、海外の投資機会の情報入手を、どんどん楽なものにしています。
一度、情報の入手ルートを確立してしまえば、情報取得自体には困らなくなります。質の高い情報、投資機会を継続的にどのように集めるか、という方が重要になってくることでしょう。
管理アウトソースの浸透
目利き、意思決定の部分を除くと、それ以外のほとんどのプロセス、作業はアウトソースで対応できてしまうのが実情です。つまり、意思決定する投資家の立場だけを考えれば、物理的な場所の制約を受けるケースは限定的です。
遠隔チーム体制が基本
そもそも、海外投資であるからには投資家(共同投資家を含む)と現地の取引関係者(各種専門家を含む)、投資を実際に受ける先等が、密に連携することを前提としているはずです。
その投資家が、投資対象国に住んでいない限り(長期滞在していない限り)、投資実行、管理のためのプロセスのどこかがリモートでの対応にならざるを得ない訳です。複数国に投資対象国を広げるなら、その対応ができるチーム体制の構築が不可欠なのです。
リモート対応を達成できれば、海外投資において特に負担となる時間とコストの劇的な効率化、節約が図れるので、投資家にとってのメリットが大きく、リモート投資は中長期のトレンドとして変わることはないでしょう。