専門家が語る、内部の固定人件費と外部へのアウトソース費用の損得勘定

海外投資における人的リソースの最適化を考える場合、内部リソースと外部リソースの割合をどのように設定するのが、より持続可能かつ費用の固定化リスクが少ないかを検討する必要があるでしょう。

期待する投資リターンを達成できるかどうかという点も大事ですが、人的リソースの質を落とさずに運営し続けられるかどうかという点も、同様に大切なのです。というのも、この業務分野において、人的リソースの需給バランスは、基本的に供給の方が少ないからです。

また、投資は資本集約型ビジネスの特徴がありますので、限られた人的リソースでより大きい運用資産を作り出すことが、利益を出す上での肝となります。大抵の場合、忙しいタイミングと、そうでない時期の緩急もあるので、大人数をべったりと張り付けておくことは非効率ですし、近年のIT発展によって、自動化できる業務もかなり増えているのが現状です。

投資の基本戦略、重要な意思決定を除いて、実務上のほとんどの部分を外部リソース(各分野を得意とする専門家)で賄うことが、技術的には可能となってきています。もちろん、ガバナンスやコンプライアンス、守秘義務の都合上、一定の制約が生じることはあるでしょう。しかしながら、外部リソースによって、かなりの部分を最適化できることは、投資家の立場としては大きいでしょう。

コスト総額の観点

外部リソースを全面的に活用すると、単価が高いので結果的に高くつくというイメージがあるかもしれません。ただ、比較対象となる固定人件費も決して安くはないのです。毎月決まった給与に加え、社会保障、賞与、オフィススペースの間接コストなどを含めれば、相当の金額になります。初期段階において、投資機会、管理の数がまだ少なければ、実質的な単価に換算するとコスト面での優位性がないこともあり得ます。また、抱えていた優秀な人材が離職してしまうと、新たな人材を探すにも時間と多大なコストがかかってしまうのです。

そのような観点を踏まえると、外部リソース(コンサルティングや業務委託、代行等のサービス)を高頻度で最大限に活用しても、中長期で平均するとコストの総額を抑えることも十分に可能です。業務量に応じて、ある程度、コストを変動費化できる点もメリットでしょう。むしろ、プロフェッショナルの高品質かつ効率的なサービスを、安定的、継続的に受けられる点では、活用しない方が損をしていると言えます。

自動化推進の観点

外部リソースの力を借りて、管理業務の自動化に取り組むのも良いでしょう。一度、一定の仕組みを構築してしまえば、アナログなルーティン作業を最小化することができますし、極力人の手を介さずに処理できるようにすれば、人的ミスを排除することが可能です。情報のオンライン化(各種共有機能の活用)も同時に推進すれば、物理的な居場所にかかわらず、リアルタイムで投資管理を行うことすら、難しことではなくなってきています。

このような効率化の作業は内部リソースでは、組織的なしがらみや、内部システム上の制約がある場合も少なくなく、やりにくいケースが散見されます。いっそのこと、さっさと外部に預けてしまった方が負担が少なく、かつ経済的なメリットが得られるケースが多いのではないでしょうか。


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