専門家が語る、可視化(文字・数字化)する訓練が大事な理由

投資を検討、検証するプロセスにおいて、考えやアイディアを可視化することは極めて重要です。全て頭の中に入っているから大丈夫、可視化するための資料をじっくり作る暇がない、という反論もありそうですが、意外に自分自身がしっかり理解していないことが多いものです。

頭の整理

定量的な部分、定性的な部分を切り分けながら、投資の一つ一つの検討要素、計画、それに伴うリスクを、文字と数字で可視化していくと、頭の整理に大いに役立ちます。口頭ベースや、断片的な情報、記録に頼って、理解したつもりになっていても、可視化したものを全体から俯瞰すると、各論では問題ないように見えたものが、総論では違和感のあるものに感じることがあります。

特に定量的な側面になりますが、事業計画にしても、キャッシュフローにしても、それらを可視化しながら、背景を突き詰めていくと、論理的根拠が薄いものや、現実的に起こり得ない変数に気付いたりすることが少なくありません。

検討している投資機会を誰かに説明するための資料を作っていて、途中で手が止まってしまったり、ストーリーを上手く構成できないようなことがあれば、その投資機会を推進するために理解すべきことを、きちんと理解できていない証拠にもなります。

頭の中が整理されていない状態で、投資の重要な意思決定を行うのはあまりにも危険です。地道な作業ですが、書き出していくこと、その時の考えを記録していくことは、理解度を把握する上で助けになるでしょう。

考えの深さを知る

もう一つ、可視化することの利点は、どこまで物事を深く考えることができているか、確かめる手段となります。これは、自分自身が可視化したものの評価だけでなく、他人が可視化したものを検証する際にも役立ちます。

内容が薄かったり、よく考え抜かれていなければ、可視化した時に単調な成果物にしかなりません。例えば、事業計画やキャッシュフローのスプレッドシートを見た時に、簡単な四則演算や生の数字だけで、構成されていたとします。複雑であれば質が高いという訳ではありませんが、関数が駆使されて緻密な表が出来上がっていると、その作成者の考えの深さが読み取れるものです。

数字は嘘をつかない

情報の精度を確認したり、計画と実績を比較したりする時に、数字の検証は欠かせません。計画段階の数字は、悪い言い方をするといくらでも筆を舐めることができます。一方で、結果は結果であって、集計や認識方法を意図的にいじらない限り、良くも悪くも変えようがありません。

同じ基準で定点観測することで、嘘のない実績を可視化することができるでしょう。ありがちなのは、一度作った基準を、途中でその時の状況に合わせて調整していってしまうことです。微調整ならまだしも、変更を重ねてしまうと、それまでに蓄積したデータの意味が薄れてしまいますし、何が確からしいのか見失うことにもなりかねませんので、注意が必要です。


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