多くの人は、投資リターンが高くて、安全な投資を理想的と考えるでしょう。しかしながら、そのような完璧な投資機会を見つけることは極めて難しいでしょう。そもそも、完璧な投資機会の定義自体が曖昧という問題もあります。
どのような投資にも言えるかもしれませんが、特に海外投資においては神経質になり過ぎない方が結果的に上手くいく場合もあります。肝になるリスクはきちんと見極めつつ、時間軸を含め、それ以外の部分は柔軟に構えておくこと、妥協できるところはさっさと受け入れるくらいの余裕が必要です。
熾烈な競争環境
本当に完璧と言えるような投資機会が存在するならば、直接その投資先や売主と遭遇し、単独交渉ができるような状況、パワーバランスでないとその機会をものにすることはほぼ不可能でしょう。
仲介として第三者が入っている場合、基本的には取引価格が高い方が、その仲介者への報酬が高くなるケースが多いため、余程の理由がない限り、取引価格が大きく下がり、投資リターンが急上昇することはありません。
また、もしそのようなケースが起こり得るのであれば、その仲介者が自ら投資するか、仲間内で短期転売をしてしまい、表にはそのような魅力的な投資機会は出てくることはないでしょう。
つまり、簡単に言えば、仲介者自身(そのキャパシティ含む)にとって極めて魅力的な投資機会ではないので、誰かに紹介するために市場に出てくるのです。
千差万別の投資基準
投資家のステータス、置かれた状況、嗜好によって、その投資基準には大きな幅があります。例えば、ある投資家が莫大な資産を保有し、投資リターンよりも資産分散による保全を目的としているのであれば、資産を減らさないものが、その投資家にとっての完璧な投資機会になるでしょう。
他方、ハイリターンを志向する投資家も存在します。彼らにとっては低リスクでハイリターンを狙える投資機会が完璧なものになります。極端な例かもしれませんが、誰もに当てはまる完璧な投資機会を定義するのは困難です。
もちろん、リスクゼロでハイリターンが完璧、と言えますが、残念ながら現実的にはそのような投資機会はないのです。
広範な不確実性
海外投資は、グローバル経済の中で常に広範な不確実性に晒されています。隙のない投資機会と思っていたものが、想定外の事態発生よって、突如にしてそうでなくなることも珍しくありません。例えば、リーマンショックやコロナウイルスによるパンデミックのような事態が象徴的です。
外部要因以外にも、内部要因としても様々なリスクを含んだものに投資をするわけですから、冒頭に触れた通り、将来の不確実性に対して神経質になり過ぎない方が良いでしょう。ある程度のリスク範囲でマネジメントする、くらいが丁度いいのです。