海外投資に限らず、詐欺まがいの投資話には常に気を付けなければなりません。小銭程度なら勉強代としてまだ諦めがつくにしても、大金をつぎ込んでおいて、回収できないとなると目も当てられません。
勿体ないのは、そういった気分の悪い経験をすることで、将来の投資の芽を摘んでしまうことでしょう。仮に、失敗を経験した本人でなかったとしても、そのような噂を聞けば、腰が引けてしまうものです。
投資にはリスクがつきものですから、利益が出ることがあれば、損をすることもある。それは普通に起こり得ることなのですが、悪意を持って騙されて大損するということだけは、誰もが納得いかないことです。
性善説に立ちたいものですが、転ばぬ先の杖として、以下の観点に注意すると良いでしょう。全てがダメということではなくて、あくまでも傾向として捉えることが大切です。大抵の場合、特別なルートがない限り、上手い話は自然には入ってきません。努力して、工夫して、適切なリスクを取って、魅力的な投資機会を自らおびき寄せる、作り上げる必要があるのです。
異常な利回りと元本保証
年利が二桁以上、元本保証(買取保証)を標榜するような投資機会は、表面的に契約上の嘘がなくても、何かがおかしい場合がほとんどでしょう。
例えば、その投資対象の評価額が、市場価格と大きく乖離していて、その投資元本一部を取り崩す形で、高い利回りを実現するようなケースがあります。そのような場合は、高い確定利回りを提供する期間が限定的だったりします。
また、(銀行預金ではないので)その性質から投資に元本保証を期待してはならないのですが、保証する主体に、はじめから保証できるだけの財務体力が明らかにないケースも考えられるでしょう。契約上、保証の履行を求めるような状態になったとしても、ない袖は振れません。
不明瞭な資金の流れ
投資実行、回収プロセスにおける投資資金の流れが不明瞭でないか、投資(出資・貸付)の対価として受け取る権利が、法律上の手当として適切に行われているか、きちんと整理整頓されているかどうかを見極める必要があります。
当然のことではあるのですが、対個人取引の場合は特に、それが当然に行われていないケースも珍しくありません。投資資金の受け取り手として、間に直接の取引主体ではない個人や法人が入っていたり(そこで隠れたマージンを取っていたり)することもあります。
また、ごく稀に悪質なケースですと、取って付けたような名目で、実際にはサービスを提供していない先への支払が発生することも考えられます。物理的に距離が離れていると、海外現地にいないと確認しようがないケースがあるのです。
投資リスクの軽視
どんな投資機会であっても、メリット・デメリット、それなりのリスクがあるものです。そのバランスによって、期待リターンが増減することが通常でしょう。メリットがなければ、投資は成立しないのですが、デメリットやリスクをごまかさずに、納得するまでの説明がなされなければ、それはそれで疑いたくなるのが心理でしょう。
デメリットやリスクが、期待リターンに対して、相対的に少なければ、太宗の一般的な投資家が参加したい投資機会になるはずです。一方で、そのような沢山の投資家が興味を持つような投資機会は、需要と供給の関係を考えれば、期待リターンは下がるはずです。
上手い話には、相応のデメリットやリスクがつきものです。それを理解した上で、投資の意思決定をすることが肝要なのです。
大事な部分が口頭
投資において、確かに言っていいこと、悪いこと、揚げ足を取られてしまっては困ることはあります。些細なことなら、合意の上でオフレコにしたいこともあるでしょう。ただ、その投資機会の主要な条件やリスク等については、きちんとそのやりとりの記録を残しておきたいと考えるのが普通です。誰でも、将来のトラブルを避けたいと思うからです。
もし、重要な部分(重要と思われる部分)が、口頭ベースの説明で済まされてしまう、記録を取ることを理由なく拒否されてしまうようなことがあれば、注意が必要です。もちろん、投資には絶対はないので、合理的な範囲で言えること、言えないことがあるのは間違いありませんが、その場合はそうせざるを得ない明確な理由があるはずなのです。