海外不動産への投資、と聞くと何だか怪しいイメージを持つ人も多いかもしれません。日本語での情報が限定的、玉石混交の投資機会がそのようなイメージ作りにつながっているとも言えるでしょう。ネガティブな意見は表面化しやすい一方で、成功している人はその種明かしをしたくないものです。
現実の事実として、海外不動産への投資で成功している事例は沢山あるのです。一方で、無知のまま手を出して、大失敗しているケースも散見されます。投資をするからには、不動産の各種リスクを見極めて、納得感のある結果を求めたいものです。
有価証券投資に比べると、不動産投資は何かと手続きが多く、売買や賃貸にも時間がかかります。人も介在しますし、定期的なメンテナンスも必要になります。事業性を持った投資と捉える方が的確ですし、それを海外の不動産で行うという意識がないと、投資をした後に苦労するでしょう。
逆に事業性のある投資は、自由度が高く、それを好む投資家にとっては楽しいものです。工夫次第で、期待リターンを上げることが可能ですし、掘り出し物の投資機会を探すこともできるでしょう。
現物投資のハードル
不動産は個別性のある投資対象ですし、世界中のどこかに物理的に存在しています。その国や地域によって、法律も違えば、取引慣習も違います。売買や賃貸の際の税金の種類、税負担の金額、タイミングも異なってきます。
自国での取引イメージを当てはめていっても、事前に念入りに調べるだけ調べても、想像できないような事象が、後から少なからず色々と発生するわけです。特に行政手続や、クロスボーダー取引の税務手続が安定していない新興国では、全てではありませんが、その傾向にあるでしょう。
保守的になりすぎると、投資機会自体を逃してしまうことになるので、望ましいとは言えませんが、慣れるまでは見えないリスクを織込み、無理のない範囲で割り引いて投資機会を検討する必要があります。
柔軟な投資計画
不動産投資において、その性質上、取引の流動性が下がるのはやむを得ないことです。急に思い立っても、翌日に資金化するのは難しいですし、焦れば焦るほど、値段を叩かれてしまいます。特に海外不動産の場合はそれが顕著です。時間軸にある程度の余裕を持つことが必要なのです。
投資の回収方法や時期が、当初の計画と少しくらい違っても良いと思える柔軟性がなければ、時間をかければ利益が出るものも、短期処分での損失に変わるかもしれません。不動産には景気(価格)サイクルがありますし、余程の高値掴みをしない限り、中長期で投資する方(時間的な制約が少ない方)が、その投資を優位に進めることができます。
信頼できる協力者
海外不動産が立地する現地も含め、信頼できる協力者、取引関係者を持つことが、成功のための大きな要素になることでしょう。その国に居住していなければなおさらです。外国人という立場である以上、法外な条件での単発取引を仕掛けてくる事業者も少なくありません。予備知識がないと、その製品やサービスの絶対価格を高く感じなくても、現地の一般的な相場からかけ離れていた場合に、それに気付くことができません。
物理的な距離や、心理的な距離が離れていると、それにつけ込んで不誠実になる事業者が出てくることを、完全には排除することはできません。中長期で信頼できる協力者、取引関係者を確保するためには、双方に中長期的な取引をするインセンティブがあるかどうか、という点を考慮すると良いでしょう。