専門家が語る、海外投資では短期投資と中長期投資のどちらを狙うか

基本的には、中長期投資を狙うべきでしょう。

一定規模以下の事業向け投資や資産取得の投資を前提にすると、短期投資の反復ではデューデリジェンスコスト等の初期コストを回収することが難しい、ないし大きな負担になるケースが多いと考えられます。

じっくり腰を据えて、中長期で見て、着実に投資リターンを得られる投資機会を中心に検討していくことが望まれます。

グローバルのマクロ経済動向にも左右されますし、国内投資と比較して、良い方向にも悪い方向にもリスク要因が多いのも事実です。ある程度、許容できる投資期間を確保しておくことで、焦った判断で損失を被るような場面を回避できるでしょう。

短期投資を仕掛けて、悪い方向に追い込まれ、ファイヤーセールでエグジットせざるを得ない状況になるのが最悪のケースです。もちろん、塩漬けを肯定しているわけではありません。時間軸に柔軟性を持っておくと、その時間の経過と共に選択肢が増える場合、解決の糸口が見えてくる場合があるのです。

取引コストの観点

上述の通り、海外投資では初期取引コスト、実行するまでに相応の手間がかかります。投資のパターンが確立されていて、追加コストがあまり必要なく、リピート取引をすることが容易であれば、短期投資の繰り返しでも採算が合うかもしれません。

もしくは、相当の投資規模がある場合です。投資リターンは、投資金額に対するパーセンテージで検証する一方、取引コストは工数に比例する部分が大きくなります。つまり、取引コストとして絶対金額が大きいように見えても、相当の投資規模があれば、全体の割合で見ればごく僅かな金額ということも十分あり得るのです。

流動性の観点

投資対象にもよりますが、海外投資は流動性がそれほど高くないことが多いでしょう。実務プロセスが複雑なケースも考えられますし、特殊性が強くすぐに次の買い手が見つかりにくいケースもあります。

不動産投資をイメージするとわかりやすいですが、流動性が低いものを急いで処分しなければならない状態になると、ある程度の投資リターンを犠牲にしなければならない可能性が高まります。中長期投資で、時間的な余裕があれば、そのリスクはコントロールできます。

再投資の観点

中長期の投資方針であれば、その対象国での再投資も含めて検討していることでしょう。投資回収したものを再投資していけば、為替変動にそこまで神経質にならなくても良く、自国との資金移動も減るので取引コストを節約できます。また、源泉税等で税制上のメリットが出てくるかもしれません。

投資全体のポートフォリオの中で、海外投資が補完的な役割であれば、時間軸をはじめ、一定のリスクは許容できるはずですので、再投資の観点も含め、時間をかけて投資リターンを追求していくというのが理想的なパターンと考えられます。


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