海外投資で成功している投資家が沢山のいる一方で、自分だけはどうも上手く行かないといったことが起こっていないでしょうか。国内のビジネスや投資は、百戦錬磨で、自信を持って上手にハンドリングできても、海外投資になると全く思う通りに行かないというような状況はしばしば発生します。
ビジネスの構造自体は、国内投資でも海外投資でも大きく変わらないものの、意思疎通で失敗したり、日本の型に無理やり当てはめようとしたり、都合がわからなくて迅速な意思決定ができなかったりと、想定外のところでつまづくことも珍しくありません。
問題の本質を見失う
取引関係者や実務担当者を信頼することは投資を成功させる上で不可欠な要素ですが、海外投資は物理的にも、心理的にも距離感が出やすく、投資実行がゴールのような感覚に陥りがちです。投資機会の探索、デューデリジェンス、クロージングまでにそれなりの労力がかかるためです。期待リターンを予定通りに叩き出すために重要なのは、投資した後の管理、回収プロセスであるのにもかかわらずです。
経済的リスクを負担している投資家自身が、その投資機会に対して深いコミットメントを持っていて、実際に資金回収を達成するまで、自分の目で物事を確かめようという継続的な意識があれば、問題の本質を見極めることができるでしょう。一方で、信用の裏返しでもありますが、まるで実態を理解せずに物事を単純化して、あれこれ意思決定、方向づけをしてしまうようなことが起こると、どんどん本質からずれてしまい、失敗につながる危険性が高まります。
国内のことであれば、勘所を持って対処できるところが、海外となると、必ずしも同じ感覚で片付けることができないのです。かえって、問題を大きくしてしまう懸念さえあります。肝心な部分について、しっかり周囲の状況、意見等を咀嚼し、自ら深い分析、考察をすることが大切なのです。
決断を先送りする
重要な意思決定を先送りし、様子見していても、運で事態が好転することもありますが、それは偶然でしかありません。投資する数が増えてくれば、運だけでは対処しきれずに、おのずと実力が結果に反映されるようになります。
海外投資の場合、定期的な進捗管理やフォローアップができていないと、意思決定の判断材料が十分に集まらないことがよくあります。判断材料がないと決断に自信が持てずに、先送りしてしまう。放置することで事態が悪化する、このような悪循環が起こり得るのです。
個別の投資は上手くいく時もあれば、失敗するときもあります。ポートフォリオ全体で成功することがより大切です。判断材料をしっかり集め、思い切った決断をすることも時には必要と考えられます。
的確なサポーターがいない
最終的には、経済的なリスクを負担している投資家が、責任を持って意思決定をすることになりますが、より正確な現状把握、確実な手続き、交渉等を遂行するためには、信頼できる的確なサポーターの存在有無が、その投資の結果に影響してきます。
豊富な経験、前例等を参考にすれば、太宗の課題は解決する可能性(解決の糸口を掴める可能性)が高いですし、問題が深刻化する前の予防策として、必要な手当てを打つことができるでしょう。仮にベストの選択肢を見つけられなかったとしても、信頼できるサポーターがいれば、明らかに望ましくない選択肢は排除できるはずです。