最初の一歩を踏み出す前に、納得するまで勉強して、事前知識をつけて万全の状態で臨みたい。外部コストをかけるなんて勿体ない、自分でやればその金銭コストは節約できる。堅実でもっともらしく聞こえるかもしれませんが、このような考えでは、いつまでたっても投資の規模感が広がらず、時間という投資にとって貴重な資源を浪費してしまうことになります。
多国籍大企業が、M&A(企業買収)を繰り返すことで、短期間でビジネス規模を雪だるま式に大きくしていくことに通ずるものがあります。お金の力(他人資本も含めて)を上手く使って、リスクをコントロールしながら、投資規模を大きくしていくと、手間の増加量に比べて、利益の絶対金額が増えていきます。投資利回りが多少低くても、投資元本が増えれば、利益額は十分確保できるわけです。逆に、投資規模を大きくせずに、利益実額を確保しようとすると、投資利回りを高めるしかありません。投資利回りを高めるためには、より平均的に高いリスクを取らなければならず、一か八かの勝負になる懸念があります。
それでは、時間を効率的に使い、利益実額を確保していくにはどのようなやり方が望ましいのでしょうか。
アウトソース先の開拓
時間を短縮できるのであれば、業務難易度的にも、コスト的にも、外部にアウトソースできるものは委託してしまい、専門家のアドバイスが必要であれば、有効に活用すべきでしょう。投資判断、重要な交渉を含め、付加価値のある部分は手元に残し、それ以外は最終的に利益が残るのであれば、極論かもしれませんが、ほとんど全てをアウトソースしてしまっても、投資としては差し支えないと言えます。投資規模の拡大(その拡大に必要な時間をお金で買うこと)によって、累積額としての利益はついてくるからです。
内製化することは悪くありませんが、小さな組織の場合は、内部リソースを集めるのに苦労すること、費用が固定化されてしまう(変動費の割合が減ってしまう)ことが、投資運用の安定性を下げてしまうことでしょう。まずは、比較的身軽な状態で、時間を極力かけずに、投資を軌道に乗せていく事が先決です。
経験と実績の積み上げ
外部リソースを上手に使いながら、効率的に投資実績を積み上げていく事ができれば、投資家としての信頼が高まりますので、投資機会の情報取得が楽になっていきますし、魅力的な投資機会が入ってくる可能性が高まります。経験豊富になることで、その目利き力に磨きがかかることでしょう。
最初の時点で多少のコストが必要になっても、学習速度が加速度的に早まれば、中長期的には十分取り返すことが可能なのです。もっと言えば、それの方が賢い選択肢です。
内部リソースの温存
外部リソースを効果的に活用することで、内部リソースの消耗を防ぐことができます。投資活動を推進していく上で、内部リソースは、基本的には付加価値の高い業務、重要な作業に充当していくべきで、それ以外は外部リソースをお金で買って、全体としての時間効率を向上させること、内部リソースを必要最小限で最適化することが肝要なのです。