一度限りの取引となると、短期的な視点から、相手を出し抜いてそこから利益を獲得しよう、自分だけが得をしようという心理が働いてしまいがちです。これは自分だけでなく、相手となる取引関係者の視点からも同様です。
海外投資は、取引一つ一つを見れば、一期一会の短期的なものもあるでしょう。しかしながら、投資としては中長期に渡って、リスクを取ることを前提としていることが少なくないはずです。つまり、取引関係者との良好な関係を構築すること、また維持することがその投資のパフォーマンスに影響を与えることになります。
投資実行したら終わりではなく、投資実行からがはじまりと捉える方が賢明です。己の短期的な経済利益だけを追求しすぎると、取引関係者との間のコミュニケーションがぎくしゃくしたり、金の切れ目が縁の切れ目になってしまいます。そうなると、取り巻く取引関係者との信頼関係を得ることが、段々と難しくなります。
案外、世間は狭いものです。業界内で悪い噂が立ってしまうと、中長期ではマイナスのことばかりです。逆の立場で考えてみれば、簡単にわかります。自己中心的な人や企業と付き合い続けたいと考える人は少ないのではないでしょうか。また、そのような人物に、自分の知人や協力者を紹介したいとも思わないでしょう。
有益な情報の収集
取引関係者らとの間で、Win-Winの良好な関係を築けていれば、徐々にインナーサークルが出来て、表にはなかなか出回らない情報も入ってくるようになります。もちろん、ビジネスですので、普段、取引関係者から受けるサービスに対して、適正な水準の対価を払う必要があります。
投資全体でみたときの利益と費用のバランスにもよりますが、躊躇してケチりすぎると、入ってくるはずの情報も入らなくなります。先行投資的な側面も時にはありますが、ビジネスは一般的に、投資、回収、投資、回収のサイクルで資金を増やしていく仕組みです。必要なものに手間とお金を惜しんではなりません。
質の担保
管理業務のイメージが強くなりますが、その質を維持、高めておくためには遠隔で動いてくれる取引関係者との密なコミュニケーションが不可欠です。言われなくても高品質のサービスを提供し続けてくれるケースもありますが、物理的な距離が遠いと、どうしても心理的にほっぽらかしになるリスクが高まります。
質を担保するためには、お互いが心地の良い距離感と取引条件で、協力し合うことが大切になってくるのです。
緊急事態への備え
質の担保、の延長線上とも言えますが、不測の事態が生じた時に、いかに取引関係者が迅速に協力的なサポートをしてくれるか、ということを事前に考えておかなければなりません。状況が悪い時こそ、それまでの関係性が表面化してくるわけです。
普段から持ちつ持たれつの状況や、相互の信頼関係が成り立っていれば、Win-Winの関係を維持しようと、自然に助け合いの行動に出るはずです。どちらかが倒れてしまうと、お互いにデメリットの方が大きいためです。しかしながら、そのような関係が構築されていなければ、見放されてしまう可能性、雑に扱われてしまうリスクが高まるのです。