言語の壁は海外投資にはつきものですが、それが致命的にならない投資機会は世の中に沢山あると考えて良いでしょう。
投資の種類にも拠ります。積極的な働きかけやコミュニケーションが必要な事業投資では一定程度の言語能力は必要となりますが、キャッシュフローを生み出す資産への投資の場合は、それ程心配ないケースも多くあります。
むしろ、投資自体の経験や、数字も含めた目利きの方が重要となります。投資で使う用語は日常生活の言葉と違って、ある程度範囲が決まっています。同じような投資の種類であれば、同じような言葉が繰り返し使われているでしょう。ウィットに富んだ言葉を繰り出す必要もありません。
また、海外投資の場合、一人で全てを完結するというケースよりは、協力者としての取引関係者が存在することが普通でしょう。そういう意味では、言語の壁だけに翻弄されて、物事が進まないということは稀ではないかと思われます。むしろ、進まない場合は別の要因によることが考えられます。
数字の重要性
何と言っても最も大切なのは、その投資機会の中身です。将来の見立てに基づいたそろばん勘定ができなければ、投資として成功させるのが難しいことは明らかでしょう。
数字の表現は、会計が世界共通言語と言われるように、基本的に全世界で同じです。つまり、数字をきちんと扱うことができれば、言語に多少のディスアドバンテージがあったとしても、投資機会を評価する上では致命的なことにはならないのです。
投資家の優位な立場
投資は常に取引関係者のパワーバランス、インセンティブを念頭に入れておくことが重要です。
投資機会の検討段階にある資金拠出前の投資家の立場は、基本的には強いはずなのです。市場が過熱している場合や、競争率が激しい投資機会の場合は、時には仕方がない時もありますが、普通の状態なら投資家の言うことに耳を傾けてくれるでしょう。
つまり、言語の壁で時間がかかっても、とことん理解が深まるまで時間をかけて確認していけば良いのです。一見非効率に聞こえるかもしれませんが、このプロセスが思い込みによる誤解や、リスクの見落としを事前に防ぐことにもつながります。
アドバイザーや専門家の力
アドバイザーや各種専門家は、その投資機会の分野のプロフェッショナルで、程度の差はあれ言語の壁を障害としていないはずです。行き詰まった時や、理解に不安がある時は素直に、外の力に頼ってみるのも良いでしょう。
それを今すぐに活用するコストと、投資実行後に万が一のことが起きた場合の潜在的なコストを比較すれば、信用のおけるアドバイザーや各種専門家の知見を借りる方が格段に有利になるでしょう。
また、AI技術を使った自動翻訳、リアルタイム翻訳が現実のものとなりつつあります。これらの技術は、電話やビデオ会議におけるコミュニケーションでも役立つでしょう。