ビジネスを良好な状態で長期持続するためには、それに関わる各取引関係者にとって、それなりに満足できる水準の取引内容でなければなりません。
程度問題の差はあれど、Win-Winの状況を作り出すことが大切です。投資家は十分な投資リターンを得えた上で、それをサポートしてくれている取引関係者に対して、合理的な対価をきっちり支払っている状態が望ましいでしょう。
投資したプロジェクトの状態によってはやむを得ないケースがあるかもしれませんが、過度な節約は、結果的に自分の首を絞めることにもなりかねません。取引関係者に期待するパフォーマンスとコストのバランスが取れていることが、成功の秘訣となります。
サービスの質の低下
合理的な範囲での価格交渉であれば、取引関係者は理解を示すでしょうし、何ら後ろめたいことはありません。むしろ、投資リターンを少しでも高めるために、しっかりと実施すべきです。ただ、それが度を超えた時が危険なのです。
投資活動に関わる取引関係者は、一般的に経済的インセンティブに敏感です。貸し借り関係や、余程の関係性がない限り、想定以上の価格交渉に対しては、抵抗感があるでしょう。取引関係者のモチベーション低下を招き、結果的に全体のパフォーマンスが下がってしまっては元の子もありません。
事業や資産への投資は、チームプレーで行うことが少なくありません。投資家とそれを取り巻く専門家を含めた取引関係者たちの誰かに大きなしわ寄せがいくようなことは、できる限り避けるべきなのです。
信用問題への影響
どの業界でも、その業界に入ってみると案外、世間は狭いものです。専門分野に分かれていくとプレイヤーの数も限られてきますし、横のつながりもあります。悪い噂や情報は、その真偽はともかく、あっという間に広がることでしょう。
程度問題はあれど、支払の観点で悪い印象が定着してしまうと、投資機会等の情報が入ってきにくくなる懸念があります。当然と言えば当然ですが、取引関係者から敬遠されるリスクが高まってしまうのです。
安かろう悪かろう
価格交渉の有無にかかわらず、低価格をセールスポイントに業務を受託する取引関係者もいることでしょう。もちろん、企業努力が低価格や無料サービスを実現している面もありますし、それを何でも否定するわけではありません。
ただ一方で、多少値が張っても最高品質のサービスを受けることで、投資リターンが上がる場合もありますし、業務が効率的になった結果、間接的なものも含め、全体では実質的にコスト削減が達成できる場合もあるでしょう。タダより高いものはない、という言葉も極端ではないかもしれません。成功している投資家は、十分に元を取れると考えて、有能な取引関係者や専門家を高いコストをかけてでも、抱え込んでいるものです。