専門家が語る、海外投資を99.9%コントロールする必要はあるか

勿論、対象となる投資機会を99.9%コントロールできる方法があれば、それが望ましいでしょう。しかしながら、国によっては、外資規制があり、そもそも完全なコントロール、権利確保が難しい場合もあります。これは特に新興国に多く見られます。

その場合は、ローカル資本のビジネスパートナーが必要であったり、何らかの特殊な投資ストラクチャーを構築しなければなりません。ただ、慣習的には行われていても、法令上、税務上の安定性にやや欠けるケースも少なくありませんので注意が必要です。

投資対象によっては、むしろコントロールの権利を取る必要がないケースも考えられます。例えば、ビジネスパートナー、他の株主が主導権を持って、その事業や投資活動を推進しているような場合です。あくまでも、自らは資金提供者としての投資家の役割が主であれば、信用できる取引関係者に委ねるのも選択肢でしょう。

そうだからと言って、投資した後に放っておいて構わないということにはなりません。不測の事態が生じた時には、少なくとも適切に物申せる状態にしておかなくてはなりません。また、参画している取引関係者のモチベーションが下がり、半ば業務放棄になるような事態を防ぐ必要があります。

経済的なインセンティブ

経済的なインセンティブのバランスは、極めて重要です。なぜなら、結局のところ、行動動機の大半は、経済的なものに比例しているためです。投資というビジネスの特質上、ビジネスパートナーを含めた取引関係者が経済的なリターンを求めるというのは自然な流れでもあります。

つまり、仮に自らが99.9%コントロールできる投資ストラクチャーになっていなくても、主要な取引関係者に、その事業、投資活動を推進するだけの経済的なインセンティブを与える仕組み、かつそのインセンティブが自らの利益と連動するものになっていれば、間接的に自らの権利を保護することができます。

投資の見える化

次に重要なのは、投資した事業、資産の状況に関して透明性を確保しておくことです。ファンド形式になっているものや、ローカル資本のビジネスパートナーに依存している投資機会の場合、情報開示が適切でなかったり、遅れがちになることも珍しくありません。

しっかりと投資の見える化ができていれば、トラブルの予兆を早めに察知できる可能性が高まります。特に、事業計画、損益実績(とその差異分析)や資金管理については、重点的なモニタリングが望まれます。仕組み作りを含め、頻繁に取引関係者と接点を持てるようにしておけば、タイムリーな情報も入ってきやすくなるでしょう。

信頼できるパートナー・アドバイザー

投資自体が上手くいっている時は、頼る必要性をあまり感じないかもしれませんが、投資というのは想定通りに行かないこともしばしばです。頭を悩ませることが発生した時に、背景から具体的な問題まで、すぐに相談できる相手がいるかどうかで、その後の対応が変わり、結果として損益に大きな影響を与えかねません。

保険とまでは言えませんが、信頼できるパートナーやアドバイザーを抱えることによって、未然に様々なリスクを防ぐことができるでしょう。投資自体の損失を回避したり、最小化できることを考慮すれば、コストパフォーマンスは決して悪くないはずです。


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