専門家が語る、海外投資事業のリソース不足を解消する方法

海外投資、その事業を少人数のチームで遂行していることは、業界にも拠りますが中堅・大企業においても珍しくありません。海外への投資、その事業展開を模索することは、成長戦略を描く上で、欠かせない要素の一つとなっています。新たな海外進出ともなれば、展望は大きく、それは魅力的な計画に映ることでしょう。

一方で、現実に戻ってみると、海外事業に経験豊富な企業でない限り、誰がそれを推進するのか、それをやり遂げるだけの十分なリソースがあるのかという課題に、大抵は直面するのです。事業上の予算は確保できているものの、人的リソースが足りないというパターンが多いかもしれません。

独立採算を基本にした海外投資、その事業を考えていくと、限られた人的リソースの中で、経営のために、営業、マーケティング、財務・経理、総務等の各機能全てを取り仕切らなくてはなりません。それら全てをバランス良く兼ね備えている人材の組合せを確保することは容易ではありませんし、仮にスーパーマンのような人材がいても、時間が限られているので、細かいところまで網羅的に対応するには無理があります。上手に分業しないと、コスト的にも割高になります。

例えば、営業に定評がある突破力のある人材が、海外投資とその事業展開を任されたとします。売り上げを上げる手立てがあれば、その実力を発揮して、収入面では結果が出るかもしれませんが、経営の面において守りが弱いと、収入以上に費用を使ってしまうかも知れません。企業としてのガバナンスや法令遵守がボロボロの状態かも知れません。これでは事業として持続可能性があるとは言えません。得意としない問題の対処に回ると、今度は結果が出ていた収入面に割ける時間が減ってしまい、悪循環に陥ってしまうことも考えられます。

内部の人的リソースによって、サポートできれば良いのですが、経済的、能力的にみて適任がいないと思われる場合は、外部のリソースに頼るのが、持続可能なビジネスを構築するための賢明な判断と言えます。

管理の丸投げ外部委託

海外投資、その事業に限らず、ビジネスにおいて営業やマーケティングのほとんど全てを丸投げできる事業は多くないでしょう。むしろ、それを強みとして存在している企業がほとんどのはずです。通常、商品やサービスを正解に理解し、企業の経営理念の元に営業活動を行う内部人材が必要とされます。

他方、管理の面は、業種によって多少の差はあるものの、土台となる共通部分の範囲が大きいため、実務的にアウトソース可能な業務は沢山あります。しかも、一つ一つが多少の割高であっても、事業規模が小さい場合には、全体としての費用対効果を見出せることがほとんどです。投資ビジネスにおいては、少ない頭数で、必要な部分は外部委託し、より大きい資産を運用することが、機動的かつ利益を出せるモデルでもありますので、外部委託は極めて合理的な判断なのです。

また、管理の丸投げをしても、前向きな事業活動の遂行には、ほとんど影響はないでしょう。足元を手堅く守っていてくれていると思えば、むしろ営業に集中できるという意味で好都合です。他者の目が入るという点で、リスク管理の側面を考えてもプラスです。

ソーシングの共同体制

単独での投資機会の探索(ソーシング)は、海外投資において最も難しいことの一つでもあります。コミュニティに入っていくことに加えて、玉石混交の投資機会を外国人の立場で、どのように選別していけるか、まさに目利き力が試されるわけです。

投資対象となる国に居住し、現地の商慣習も含めて理解できている内部人材がいれば、心配ないかも知れませんが、まだ見ぬ投資機会への期待と、時間軸の制約を背負いながら現地入りしているケースや、遠隔で情報収集をしているケースは、現地の協力者との共同体制でのソーシングが望まれます。

そうすることで、初期スクリーニングを含め、投資機会の探索にかかる負担を軽減し、内部リソースを温存、効率化することができます。ソーシングで手一杯になっている場合は、外部との共同体制を引くことで、リソース不足を解消することができるでしょう。

最適化と自動化

投資検討、実行のプロセス等をアナログで対応していくことが悪いわけではありませんが、非効率な実務作業をやめることで、リソース不足を解消することは可能です。例えば、データの類は電子化し、共有することで透明性の高い管理ができますし、どこからでもアクセスすることが可能になります。定型のレポーティングは、自動化を進めることができるでしょう。

限られた人的リソースでも、煩わしいルーティン作業を効率化すれば、本来注力すべき付加価値の高い活動にリソースを振り向けることができます。海外投資、その事業を担う人材が、必ずしもその効率化に長けているわけではないので、必要な時に外部の力を借りることは理にかなっています。


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