直接的に海外へ投資する場合と、間接的に海外へ投資する場合とでは、進めるプロセスも違えば、取るリスクの種類も変わってきます。一般的に、間接投資の方が定型化されている傾向にあり、手間がかからないケースが多いでしょう。しかし、運用会社や投資先へのお任せになることが想定され、投資家としての自由度が少ないことが通常です。
直接投資、間接投資のどちらにも良い点はあり、どちらが適しているかは、投資家の嗜好や向き不向きにも左右されます。直接投資の方が、相対的に難易度が高いものの、近年の技術革新等によって、ハードルは確実に下がってきています。玄人だけの世界ではなくなっていて、やる気さえあれば、挑戦できる環境になったと言えます。
では、具体的に考えられる主なメリットは何でしょうか。
明確な投資対象
直接投資かつ、それが具体的な事業向けの資金拠出であれば、その投資資金の使い道は明確ですし、そこから生まれる収益からの資金回収になるので、お金の出入りの構造がシンプルになります。管理面においても、関係のない収支を見つけることが楽になります。また、具体的に投資対象となる事業や資産からの成果物が見えやすいという点もメリットです。
逆に間接投資の場合は、運用会社や投資先の裁量によって、投資された資金が事業や資産に配分されていきます。実際の最終投資対象範囲は決まっているものの、投資家の関心に合致したものに資金が流れるかどうか、その詳細が、わからないことが多いことでしょう。お金に色はありませんし、情報開示の度合いが限定的なことも珍しくありません。ファンドの規模が大きくなるほど複雑化し、投資家がその中身を個別に分析、検証するのは困難です。
手間と満足感
直接投資において、一般的にその手間はデメリットと考えられます。間接投資をしている人にとってみれば、海外への直接投資をしている人は、なんて面倒なことをしているのかと思うかもしれません。
ところが、そのデメリットは、捉え方によってはメリットとも言えます。
手間がかかる分、必要な知識も広範ですし、実践から得られる経験値にも差が出てくるでしょう。投資対象となる事業や資産について、より深い知見が得られれば、その分野についての目利き力が高まります。目利き力、経験値を高めることによって、成功確率の上昇、業務の効率化を期待することができます。競合する投資家よりも、交渉力がつき、より良い条件で投資をまとめることができるかもしれません。
そして、手をかける分だけ、成功した時の満足度も高くなるはずです。投資のリターンだけでなく、スキルアップにつながれば、その投資とは直接関係なくても、他の仕事や事業にもプラスのシナジー効果が現れるでしょう。
期待リターン
卸売のビジネス等と同じ発想になりますが、直接と間接では、その中間マージンの層の数が変わってきます。海外投資の場合、それを完全にゼロにすることは難しい面はあるものの、やはり直接と間接とでは、中間コストが全く異なってくると言えます。
同様のリスクと取るのであれば、期待リターンは高い方が良いに決まっています。間接的になるほど、検証することが難しい隠れたコストが発生する可能性が上がるので、投資家の立場としては注意を払う必要があるでしょう。