内部リソース、外部リソースの別に拠らず、特定の協力者に依存するのは、慣れてくると楽になる半面、トラブルが発生した場合の対応や、属人的な発想等により、後々で問題が表面化することも考えられます。
海外投資の場合、太宗の管理は遠隔で対応できるにせよ、投資対象自体が海外にあるので、ある程度は外部リソースに頼らざるを得ません。むしろ、独力で全てをやろうとうすると効率が悪いだけでなく、余計なリスクを負うことになります。また、一般的に内部リソースについても、海外投資の実務に長けている人物を十分に抱えているケースは限定的でしょう。
属人化を完全には避けられないことを前提にすると、次善の策として、何ができるのかを考えておかなければなりません。
属人化のメリット
初期段階においては、特に業務が効率的になるでしょう。投資機会の背景から関与していれば、改めて内容を紐解いたり、誤解を招くことも少なくなります。協力者はその投資について、リスクがどこに潜んでいるかも熟知できているはずです。その意味では、未然のトラブルを防ぐ効果を期待できます。
また、その協力者との相性が良く、投資パフォーマンスの結果が出ている場合、人的リソースの囲い込みを行った方が望ましいと言えます。海外投資の分野において、人的リソースの需給で考えると、外部に出てくる供給は決して多くありません。中長期的な結果に直結する要素なので、属人化のメリットをしっかり見極めなくてはなりません。
このように、概して投資事業が上手くいっているうちは、属人化のメリットしか見えないものです。
属人化のデメリット
問題は、属人化が裏目に出た時なのです。心理として、長期間属人化するような状況になってくると、依頼・指示する側の緊張感が欠けて、お任せの状態になりがちです。そして、段々と投資内容への理解、関与が、時の経過と共に薄くなってしまうのです。安定的な投資対象であれば、変化が少ないかもしれませんが、そうでない限り、日々更新される情報のうち、重要なものを見逃してしまう危険が高まるのです。
また、属人化した協力者が突然に離脱するリスクも十分に検討する必要があります。離脱した時の代替がなければ、空白期間ができてしまい、断片的な情報しか入手できなくなることも考えられます。意図的かどうかにかかわらず、顕在化していない問題に、気付くのが遅れることにもなりかねません。
トラブル予防
できる限りの前提とはなりますが、当初から業務の分散化や、複数人での管理体制を徹底することが望まれます。また、現状把握の頻度を上げ、何らかの形で時系列の記録をしっかり取っていくことが肝要です。記録さえ残っていれば、過去に生じたことでも、見返すことで原因を突き止めたり、責任の所在を明らかにすることができるでしょう。結局のところ、適切な監視が必要というわけです。
恒常的な人的リソースを注ぎ込むことができなければ、定期的な投資業務の見え化の実施をおすすめします。客観的な立場も踏まえ、外部リソースを使って実施することも悪くありません。最低限のコストはかかるものの、不測の事態が生じた場合に起き得る損失と比べたら、格段に小さいコストで済むはずです。