投資機会を探索していると、様々な種類の情報が入ってきます。箸にも棒にも掛からないレベルの話もあれば、真剣に検討すべき魅力的な機会が突然に舞い込んでくることもあるでしょう。それらの情報を的確に選別することが、腕の見せ所になるのですが、その中には甘い話も含まれている可能性があります。
表面的には取り繕われていても中身のない張りぼてだったり、楽観的過ぎる仮説をあたかももっともらしく説明していたり、論理的には正しくても実務的にはトラブルの要素を含んでいたり、バラ色の投資機会だと思っていたものに色々な落とし穴が隠されていることは珍しくありません。
甘い言葉に引っかかり、その後に後悔の念にかられるのは辛いものです。投資の経験があれば、多かれ少なかれ、そのような状況におかれたことがあるのではないでしょうか。そういった体験に懲りて、投資自体に興味を失ってしまったり、腰が引けてしまうのはとても勿体ないことです。
それでは防止策として、どのような考え方があるのでしょうか。後述する点を意識すれば、甘い言葉に翻弄されるリスクを少しでも減らすことができるはずです。
各人の行動動機の把握
人は、行動するときに何らかの動機があるはずです。日常生活の場合は、無意識に行動している時もあるかもしれませんが、投資という分野の中で、それを取り巻く取引関係者が無意識に行動する、ということは考えにくいでしょう。
取引関係者らにとっては何らかのビジネスのはずですから、基本的には、経済的なインセンティブ、ないしそれと同等の行動動機を持っているはずです。その大小の多寡に拠らずです。自分自身が投資家の場合、自らも経済的インセンティブ(投資リターン)等を判断軸にしていますから、結局のところ、関係者間のバランスが取れているか、Win-Winの状態になっているかどうかが肝になります。
自分の立場だけでなく、相手の視点にも注意を払うことが大切なのです。
納得感のある意思決定
投資機会によっては、時間的制約がある等、十分な情報や説明が揃っていない中、意思決定を迫られることがあるかもしれません。甘い言葉と雰囲気にのまれて、焦って意思決定をしてしまうことだけは避けたいものです。
また、耳障りの良い言葉になんとなく分かった気になって、どんどん物事を決めていってしまうこと、物事が流れていってしまうことにも注意が必要です。曖昧なことがあれば、タイミングを失わないうちにすぐに確認し、その場で対処しておかないと、いつの間にか相手のペースに乗ってしまっているかもしれません。
自分自身が自信を持ってきっちり納得できるまでは、意思決定に妥協するべきではないのです。
複数の第三者意見
利害関係のない、もしくは利害関係が薄い第三者プロフェッショナルの意見を参考にするのが良いでしょう。経験豊富かつ、中立的な立場にいるプロフェッショナルなら、検討している投資機会に何らか重大な欠陥があれば、それをたやすく発見することができるでしょう。
長い間、特定の分野に関わっている人であれば、落とし穴になるポイントや悪い噂・評判等を熟知しているものです。逆に言うと、良い噂・評判、上手なやり方も知っているので、そのような信頼できるプロフェッショナルを味方につけておくことが、投資の成功につながってくると考えて間違いありません。