専門家が語る、短期投資と中長期投資のポートフォリオ構築とは

投資の目的と投資基準に合わせて、あらかじめおおよその投資期間を定めておくことは、海外投資のポートフォリオを構築する上で、必要なことです。短期と言っても、海外投資(事業・資産向けの直接投資の場合)では1年程度、中長期では3〜5年くらいを考えておくイメージです。5年超の超長期で安定的な利回りを求める戦略もありますが、その場合は万が一の時に途中でも売却・処分できるように、流動性の比較的高い投資機会を選ぶ方が良いでしょう。

集中投資戦略、分散投資戦略のいずれを取るにしても、極端に振れないのであれば、複数の投資機会の期間に多少のばらつきを設けた方が、再投資の準備・手間等を考慮した時に、望ましいと言えます。同時に遂行ないし管理する案件が増えてくると、近いタイミングで大量に投資実行する、大量に償還・回収時期を迎えることが、実務的に大きな負担となってしまうためです。

短期と中長期の適度な組合せ

期間にばらつきを設けると言っても、慣れていないと具体的にどうしたら良いか想像がつかない場合が多いかもしれません。初期段階においては、不測の事態が生じる可能性を考慮し、比較的短期(といっても、半年〜1年半程度)のものを中心に、検討候補に上げるのが良いでしょう。判断を誤ったかなと投資実行後に思ったとしても、1年前後で終わると考えれば気が楽です。それも経験として、その後の投資機会の選別にも役立ちます。

ポートフォリオのうち、短期投資が増えてきたら、次に中長期投資を検討します。投資対象の分野、種類が近ければ、基本的には短期より中長期の方が、リスクの観点から期待利回りが高いはずです。また、資金投下した後に管理が安定してしまえば、再投資を含め、こまめに取引をする手間が省けます。ただし、万が一の事態の資金手当て(資金不足)、流動性を考えると、中長期の投資ばかりにすることは避けた方が無難でしょう。

投資対象によっては、短期の投資では取引コスト(税金含む)が重く、利益が出にくい場合(効率が悪い場合)も考えられます。そのような場合は、例えば、中長期でも3年程度を目安にしたり、多少期間が短くても、取引コスト控除後の利益が確保できる投資機会だけに絞って検討することも選択肢です。

平均値等の指標とキャッシュフロー把握

実行した投資案件が増えてくると、個別案件のリスクリターンは頭の中に入っていても、全体では、どうなっているのか、わからなくなってくることもしばしばです。平均値等の指標を含め、進捗状況を的確に把握して、ポートフォリオとしての状況を常に知っておくことが大切です。そうすることで、次に検討する投資機会において、どこまで踏み込んでリスクを取れるかが決まります。

キャッシュフローの動向も同様に大切です。運用できる総資金(投資元本)のうち、いつにいくら回収できて、再投資に回せるのか、無理のない範囲で資金効率をどう高められるかを考えなくてはなりません。特に、回収時期が遅れて、新規案件や再投資のタイミングに影響が出たり、資金ショートを起こしてしまうことだけは避けなければなりません。

デフォルト率と予想損失

基本的には元本保証ではないので、投資には損失リスクがつきものです。投資実行した案件が増えてくれば、最善を尽くしたとしても、個別案件において損が生じることは完全には防げませんし、一定の確率で生じる(全損だけでなく、一部の損失も含め)と思っていた方が自然です。

期待リターンとのバランスで、デフォルト率(損失率)と投資元本に基づく予想損失額を設定しておくことで、ポートフォリオ全体としてのその予想損失額控除後の期待リターンを弾くことができます。ここまで想定しておければ、ポートフォリオの一部の案件でつまずく事象が起きても、動じずに済むことでしょう。


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