専門家が語る、緻密なキャッシュフロー表を作るべき理由

投資機会を検討する時、管理する時には、必ずキャッシュフロー表と対峙することになるでしょう。これをしっかりと検証、編集する力を身に付けられれば、投資の成功確率が上がり、トラブルに巻き込まれるリスクを減らすことができます。

緻密なキャッシュフロー表と書きましたが、重箱の隅をつつくような細かすぎるものを意図しているのではありません。実務上の管理負担が大きくなりすぎてしまっては、元の子もないですし、作りこむのにも多大な労力がかかってしまうためです。

他人が作ったキャッシュフロー表を解読するのは、慣れないと大変ですが、何度も自分で作成、管理して場数が増えてくると、気をつけるべきポイントやパターンが見えてきます。投資のパフォーマンスを左右する要素、前提条件のどこを調整すれば、期待する結果としての見栄えが良くなるかがわかってしまうのです。

負けるゲームの回避

キャッシュフロー表の作成は、項目と時間軸の要素分解でもあります。ざっくりとした前提条件と予想結果だけを見せられても、その途中経過が本当に正しい仮定に基づいているのかがわかりません。キャッシュフロー表はそれを明らかにしてくれます。

要素分解をしていくと、その各項目の仮定が、楽観的なものなのか、現実的なものなのかが一目瞭然になるでしょう。個別の要素では不可能ではないけれど、現実的にはほぼ同時に起こりえないような組み合わせになっていて、じっくり検証すると全体のシナリオとしては、夢物語である場合も少なくありません。

また、開発に関連する投資対象の場合、一つの要素に問題が生じると、連鎖的に他の項目に悪影響が出る時もあるでしょう。キャッシュフロー表のシミュレーションを丁寧にしておくだけで、明らかに負ける可能性が高いゲームを回避できるのです。

頭の中の整理

数字の組み立てを一から確認することで、その投資機会、ビジネス構造への理解が深まります。結果的に、確からしい投資の意思決定をするための合理的根拠を見いだすことができるでしょう。頭の整理にキャッシュフロー表が役立つのです。

逆に言えば、キャッシュフロー表に置き換えられるような事象について、きちんと説明ができなければ、その投資機会のリスクを網羅的に把握できていないとも言えます。数字には、必ず根拠がありますし、嘘をつきません。

容易な継続管理

最初が肝心で最も労力がかかりますが、一度、その投資機会用のキャッシュフロー表の型を作ってしまえば、後々の管理がとても楽になります。上述の通り、頭の整理が済んでいますから、必要な変数を機械的にアップデートしていくだけでも、論理的かつ精度の高い数字の組み立てができるはずです。

管理は簡単なようで、面倒だったり、手を抜いてしまいがちな部分です。一方で、当初期待した投資の目的やリターンを実現するためには、その管理が重要だったりします。投資したらしっぱなしではなく、キャッシュフロー表をしっかり作り込んでおくことで、継続的な管理も負担にならなくなるでしょう。


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