海外投資において、伝統的な分野に投資するか、SDGsや最先端の技術等の注目分野に投資するか、投資対象に幅がある場合は、悩ましい問題かもしれません。
伝統的な分野であれば、過去の事例やデータが豊富にあり、その投資の成功確率や期待リターンの振れ幅を予想しやすくなります。比較的手堅い反面、新しい分野に資金投下したい投資家や、他の事業とのシナジー効果を、積極的に狙いたい企業にとっては、物足りないものになってしまう懸念があります。また、期待リターンとして数倍、数十倍を狙いたいようなケースには、伝統的な分野は基本的に合いません。
SDGsや最先端の技術を駆使したスタートアップ等、注目分野への投資は、成功した時の期待リターンの大きさも去ることながら、社会的課題の解決など、社会的意義に魅力があったりします。そもそも投資目的として、そのような意義を重視するのであれば、損はしてはならないけれど、経済的利益は二の次という場合もあるでしょう。
市場の成長性
注目分野の投資機会には、様々な種類のものがあり、一定の法則に当てはめて、その投資の成功確率を導き出すことは難しいものの、市場全体の成長の恩恵を受けることができるため、市場が成熟するまでの間、全体的に利益を獲得しやすい環境にあるでしょう。
同業他社や類似の投資機会が多く、競争が激しくても、市場自体が拡大していて、競争以上に新規顧客が増えている限りは、投資としてのうま味を享受できる可能性が高まります。ケースバイケースですが、注目分野は、時間と共に第三者評価が高く出ていく傾向にあるので、先行者としてのポジションで、入れるかどうかが重要な要素のひとつとなります。
まさに、将来の成長性を見据えた目利き力が試されるわけです。特に新しい注目分野の場合、上手く流れに乗れれば、大きな果実を得られる一方で、投資として大失敗に終わるリスクもあります。その点、念頭に置いておく必要があります。
優良案件との遭遇
宝探しのような感覚になりますが、新しい注目分野には、まだ手のついていない優良な投資機会が隠れているものです。伝統的な分野ですと、投資家のプレイヤー数が多く、投資機会の評価、競争がよりシビアです。資本規模が優位に働くケースも少なくありません。
成熟しきっていない分野において、投資家は、資本力以外の点、例えば、理念や事業シナジー、意思決定スピード等で、勝負できる可能性が十分あります。大小関係なく投資家の属性によって、得意不得意はあるので、戦えるフィールドで勝負することが大切です。
政府などのサポート
新しい注目分野の場合、その産業や分野を意図的に成長させようという外部の力が働くことが少なくありません。企業や事業に対して、政府などからの資金的な補助がついたり、金融機関からの資金サポートがつきやすくなることがあるのです。
関連の業界団体等があれば、その注目分野全体を盛り上げるためのマーケテイング活動に力をいれるかもしれません。いずれにしても、注目を浴びている間は、投資先となる企業や事業にとっては節約できること、追い風になることが沢山あるでしょう。